加湿器を買おうと売り場を見ると、いちばん安くて小さいのがだいたい超音波式です。その一方で「超音波式は雑菌が飛ぶ」「白い粉が出る」という話も目にして、手が止まりますよね。
超音波加湿器とは、水を熱さずに細かい霧にして飛ばす加湿器です。静かで電気代が安い代わりに、毎日の手入れをさぼると弱点がそのまま出ます。
子どもがいる家で、寝室や子ども部屋のどこに置いてよいか、どの場面なら避けるべきかまで分けて書きました。読み終わったら、自分の家に超音波式を選ぶかどうか決められます。
超音波加湿器とは水を振るわせて霧にする加湿器
超音波加湿器は、タンクの底にある小さな板を1秒間に何百万回も振るわせ、水面を細かい粒にして吹き出す仕組みです。お湯を沸かす方式と違い、出てくるのは湯気ではなく常温の水の粒です。
吹き出し口から白い煙のようなものが見えますが、あれは水の粒そのものです。手を近づけても熱くなく、しばらく当てていると手が濡れます。
湯気ではなく細かい水の粒が部屋に飛ぶ
水の粒は目に見えるほど大きいので、吹き出し口の近くに落ちやすいです。そのため部屋全体というより、本体の周りを重点的に湿らせる加湿器だと考えてください。
メーカーの説明でも、超音波式は机の周りなど一部を加湿する用途に向くと書かれています。家族が集まる広い部屋の湿度を上げたいなら、後で書く別の方式のほうが向いています。
ほかの3方式との違いは熱と風を使わないこと
加湿器は仕組みで4種類に分かれます。違いは、水をどうやって空気に混ぜるかだけです。
| 方式 | 水を飛ばす方法 | 音 | 雑菌 |
|---|---|---|---|
| 超音波式 | 振動で霧にする | ほぼ無音 | 増えやすい |
| スチーム式 | 沸かして湯気にする | 沸く音 | 増えにくい |
| 気化式 | 濡れたフィルターに風 | ファンの音 | 増えにくい |
| ハイブリッド式 | 温風をフィルターに | ファンの音 | 増えにくい |
超音波式だけが、熱もファンも使いません。だから静かで安く作れる代わりに、水を熱で消毒する工程も、フィルターで雑菌を止める工程もないんです。
静かで電気代が安く本体が熱くならない
超音波式の良いところは3つです。運転音がほぼ無く、電気代がスチーム式の10分の1以下で、本体も吹き出し口も熱くならないことです。
ファンが無いので、寝室で枕元に置いても音で目が覚めません。赤ちゃんの寝かしつけ中に動かしても、眠りを妨げにくいです。
電気代は、メーカーの比較でスチーム式が1時間あたり数円かかるのに対し、超音波式は1円を切ります。冬の間ずっと動かしても、電気代を気にせず済みます。
そして熱くならないことは、子どもがいる家ではいちばん大きい利点です。スチーム式は吹き出し口に触るとやけどをしますが、超音波式は倒しても水がこぼれるだけで済みます。
弱点は雑菌と白い粉と周りの濡れの3つ
安くて静かな分だけ、超音波式には他の方式に無い弱点があります。タンクの雑菌がそのまま部屋に飛ぶこと、水道水のミネラルが白い粉になること、本体の周りが濡れることの3つです。
タンクの雑菌がそのまま部屋に飛ぶ
水を熱しないので、タンクに入れた水は入れたままの状態で部屋に飛びます。水を何日も替えずに置くと、中で増えた菌も一緒に霧になって出ていきます。
実際に、手入れ不足の加湿器が原因とみられるレジオネラ肺炎の例が報道されています。小さい子どもや高齢の家族がいる家ほど、この点は軽く見ないでください。
対策は単純で、毎日水を捨てて入れ替えることです。前日の水を足して使うのだけはやめてください。
白い粉の正体は水道水に含まれるミネラル
超音波式を使うと、近くの家具やテレビの画面に白い粉が付くことがあります。これは水道水に溶けているカルシウムなどのミネラルが、水の粒と一緒に飛んで乾いた跡です。
体に害があるものではありませんが、黒い家具やパソコンの上に積もると目立ちます。テレビやパソコンの吸気口に入ると、内部で固まるおそれもあります。
気になる場合は、精製水を使うと粉はほぼ出なくなります。ただし毎日精製水を買うと手間と費用がかかるので、置き場所を家具や機器から離すほうが現実的です。
本体の周りの床や机が濡れる
水の粒が大きいので、吹き出し口の周りに落ちて床や机が濡れます。フローリングの上に直接置くと、朝には本体の周りが水滴で囲まれていることがあります。
木の机や畳の上は、跡が残ったりカビが出たりします。下に濡れてもよいトレーやマットを敷いて、吹き出し口を壁や家具に向けないでください。
使う場面で決める 寝室と子ども部屋とリビングとデスク
超音波式は「どこで使うか」で向き不向きがはっきり分かれます。寝室と子ども部屋とデスク周りには向き、家族が集まる広いリビングには向きません。場面ごとに置き方も変わります。
寝室は枕元から1m離して床に直接置かない
音が無いので寝室にはいちばん向いています。ただし枕元に近すぎると、朝に枕や布団の端が湿っています。
ベッドの高さと同じくらいの台に置き、頭から1mほど離してください。床に直接置くと、水の粒が床にたまって湿度計の数字ほど部屋が潤いません。
子ども部屋は倒されない高さに置く
熱くならないので、子ども部屋でも使えます。倒されても水がこぼれるだけで、やけどの心配はありません。
それでも、タンクの水をいたずらで触られると雑菌が増える原因になります。子どもの手が届かない棚の上に置き、朝に水を替える係を親が決めておいてください。
リビングの広い部屋は別の方式にする
超音波式は本体の周りを湿らせる加湿器なので、10畳を超えるリビング全体の湿度を上げるのは苦手です。本体の近くだけ湿度が上がり、部屋の反対側は乾いたままになります。
家族が集まる部屋の湿度を上げたいなら、気化式かハイブリッド式が向いています。超音波式は、ソファの横や食卓の近くなど、人がいる場所の近くに置く使い方にとどめてください。
デスク周りはパソコンから50cm以上離す
在宅の仕事や子どもの勉強机の近くで使うなら、パソコンやタブレットから離してください。白い粉と水の粒が吸気口から入ると、故障の原因になります。
吹き出し口を機器と反対の向きにして、50cm以上離せば、粉が積もる量はかなり減ります。書類の上に置くのも避けてください。
毎日の水替えと週1回の洗いが続けられるか
超音波式を安全に使えるかどうかは、この手入れを続けられるかで決まります。毎日タンクの水を捨てて入れ替え、週に1回はタンクと振動する板を洗うのが最低ラインです。
やることは多くありませんが、毎日やるのが条件です。朝の流れに組み込むと続きます。
- 朝にタンクの水を全部捨てる
- タンクに少量の水を入れて振り洗いする
- 新しい水道水を入れて本体に戻す
- 週に1回はタンクの内側と受け皿を柔らかいスポンジで洗う
- 振動する板の周りのぬめりを綿棒で取る
- 洗ったあとは乾いた布で水気を拭き取ってから組み立てる
長く使わないときは、タンクを空にして乾かしてからしまいます。水が入ったまま押し入れに入れると、次の冬に出したときにぬめりとにおいが出ています。
湿度は40から60%の間に収める
超音波式は湿度センサーが無い機種が多く、つけたままにすると加湿しすぎます。部屋の湿度が60%を超えたら止めるのが目安です。
湿度が60%を超えると、窓や壁に結露が付き、カビとダニが増えます。逆に40%を下回ると、のどが乾いてウイルスが動きやすくなります。
湿度計を本体から離した場所に置き、40%を切ったら動かし、60%に近づいたら止めてください。タイマーが付いている機種なら、寝る前に2時間から3時間で切れるようにしておくと、朝の結露が減ります。
超音波加湿器を選んでよい家と避けたほうがよい家
ここまで読むと、超音波式が合う家と合わない家ははっきりします。毎日水を替えられて、使う場所が寝室や子ども部屋なら選んでよく、広い部屋の加湿や手入れの時間が取れない家は避けたほうがよいです。
| 向く家 | 避けたほうがよい家 |
|---|---|
| 寝室や子ども部屋の枕元で使う | 10畳を超えるリビング全体を加湿したい |
| 毎朝の水替えを続けられる | 数日水を入れたままにしがち |
| 小さい子どもがいてやけどを避けたい | パソコンや黒い家具のすぐ横に置く |
| 電気代と音を抑えたい | 部屋を早く暖めながら加湿したい |
迷ったら、手入れの時間を取れるかどうかで決めてください。毎朝1分の水替えが続く家なら、超音波式は静かで安い良い選択です。
続く自信がないなら、手入れの手間が少ないスチーム式か、雑菌が増えにくい気化式を選んだほうが、結果として安全です。
元々は充電式のポータブル電源や電動工具分野の専門アドバイザー。現在はキッチン家電や生活家電、カー用品まで幅広く担当しています。「毎日使うものほど、扱いやすさで選ぶ」が持論。
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